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詰みゲー! 3-41

††3-41

「じゃあねー♪」
そう言って赤服への別れの挨拶を終えたレインが『門(ゲート』を閉じ、こちらを振り返った。
「あらあら・・・・・・」
そこには冷や汗をかいて薄ら笑いを浮かべる私がいた。
「お、お嬢様・・・・・・」
ついでに私の両脇に立ち、剣を首筋にぴったりと当てている二人の兵士もいる。

ここは・・・・・・隣町のシザータウンだ。
町の入り口の門構えに見覚えがあるし、「ようこそシザータウンへ!」と書いてある。
割と大きな町で門兵もいれば軍隊も持っている。国のものと比べればちゃちなものだが、一つの町の規模としては驚異だ。
さっきの町、クロックタウンでも警備兵はここから雇っている。
周辺で最も強い町、と言えるだろう。

†††

詰みゲー! 3-40

††3-40

「・・・・・・」
ガン、と赤服は地面に拳を叩きつけた。
地面に大きくヒビが入り、拳の形に陥没する。
「あぁ、逃げられちゃったのかぁ」
間の抜けた声を出して黒服が赤服に歩み寄る。
「・・・・・・申し訳ありません。取り逃がしてしまいました」
赤服は黒服に頭(こうべ)を垂れた。
いいよいいよ、と黒服は笑って手を振る。
「そもそも、彼を殺せ、なんて僕は言ってないしね」
「そ、その・・・・・・」
赤服は何事かを言おうとして躊躇した。
その動揺を黒服は黙って見ていた。
「・・・・・・奴は一人ではありませんでした。取り逃がしたのはもう一人の能力のせいです」
「おや・・・・・・?君の油断のせいじゃなかったの?」
「いえ、その通りなのですが・・・・・・」
その時、黒服は赤服の『障壁』の損傷に気づいた。
「・・・・・・それは誰が?」
「これ、ですか?これはそのもう一人の小娘に・・・・・・」
「へえ・・・・・・」
黒服は顎に手を当ててなにやら考えているようだった。
そのまま広場に戻ろうとする黒服に、赤服は問いかけた。
「あの、連中はどうしましょう・・・・・・?」
「そうだね・・・・・・。まあ、今はやることがあるからね」
黒服は歩みを止め、振り返って少し笑った。
「その小娘は後回しさ」

†††

さまよう羊のように 8-6

†††8-6

「・・・・・・!」
そこにはさるぐつわを噛まされ、手足を縛られたナッツがいた。
ナッツは目が慣れていないためかすぐには戸を開けたのがココだとは気づかなかった。
ココはなんとか腹の奥から湧き上がる何とも言い難い思いを声に出さずに押し殺すことができた。

パンッ!パパンッ!

クラッカーの弾けるようなやや湿気た景気の悪い音が廊下の方から聞こえた。
ココが廊下の方を見ると、ギャットは既に拳銃で応戦を始めていた。
ギャットが撃つのを中断して廊下の出口に身を潜め、すぐにでも撃てるような位置に陣取りつつ、新しいマガジンをポケットから取り出した。そしてこちらを見やり、ココを指さした。

・・・・・・自分のことは何とかしろ。

ココはなんとなくそう言われているように感じた。
ココはポケットから小型のナイフを取りだし、ナッツのさるぐつわを切ろうとして、一度口に指を当てた。
・・・・・・騒ぐなよ。
ナッツがこっくりとうなずく。それを確認してココはナッツのさるぐつわを切った。
ふーっと静かに息を吐き出し、肩を一度ごきり、と鳴らしてからナッツは後ろを向いた。後ろ手に縛られているのでそっちも切ってくれ、ということか。
ココは腕の縄を切り、ナッツの足を縛っている縄も続いて切った。
ナッツは立ち上がり、クローゼットから、長い束縛から解き放たれた。

†††

詰みゲー!3-39

†3-39

《女王の雷槍(クイーンズジャベリン)!》
お嬢様の指先のやや上に巨大な槍を持った女王の像が一瞬形成され、槍は雷を纏った。
像がその雷槍を赤服に向けて投擲する。
お嬢様目がけて突っ込んでいた赤服は雷槍に串刺しになった。
正確には『障壁』でその攻撃を防いだ訳だが。
「へえ・・・・・・思ったより硬いわね」
「貴様あッ・・・・・・!」
赤服の声に怒気が混じる。
見ると雷槍をモロに食らった腹部の『障壁』にはヒビが入っていた。

赤服を吹っ飛ばしたお嬢様は間髪入れずもう一度左手を振って一声叫ぶ。右手には懐中時計が握られたままだ。

《次元の門番(ゲートキーパー)!》

お嬢様が一声発すると、五歩程度先の空気がもにょもにょと揺らぎ始めた。
がばあ、とその揺らぎが『門』になった。
「え?え?ええぇ!?」
間抜けな声しか出せなかった私を引っ張ってお嬢様がぽーんっと『門』を飛び越える。
飛び越えた先は違う町の入り口だった。

飛び越えた先でお嬢様は時計を確認し、懐に入れた。
そして、お嬢様は『門』に首を突っ込んで赤服に叫んだ。

「決着は次に持ち越しよ!」
「くそ!まちやが、」
「じゃあねー♪」
こちらに走りつつ叫び返す赤服の言葉の途中で、お嬢様は『門』をぶちっと閉じた。

†††

詰みゲー! 3-38


†††3-38

赤服がグッ、と拳を握る。
その威力はついさっき身を以て経験済みだ。
「お嬢様逃げて下さい!時間稼ぎしますから!」
手を出してお嬢様に逃げるよう合図する。
「嫌よそんなの」
しかし、お嬢様は私の手をすり抜けてひょいっと更に前へ踏み出した。
「・・・・・・」
赤服は無言でそんなお嬢様に向かって駆け寄る。
「お嬢様ッ!」
間に合わない、私がお嬢様の前に出るより赤服の攻撃の方が早い。
絶望に目の前が一瞬真っ暗になる。


お嬢様が右手を真横に伸ばす。
私はその右手に見知らぬ懐中時計が現れたのを見た。
「油断したわね・・・・・・。無防備に突っ込んでくるなんて。猪じゃあるまいし」
お嬢様が指を天に向ける。
《女王の雷槍(クイーンズジャベリン)!》

†††

詰みゲー! 3-37

†††3-37

「だって、あんた全然本気出してこなかったし。それに、あんたが悪い奴に見えなくなっちまったからさ」
私の言葉を聞いて赤服は右手で顔を覆い、低い声で笑いだした。
「・・・・・・非論理的だな」
手で顔を覆ったままで赤服が言った。
声は私を追っていた時の凄みの利いたものに戻っている。
「お前の言葉は非論理的だ。そんなもの理由にならん」
「そうか?だったら理由も要らないね。やっぱり勘だな」
「ふざけた奴だ・・・・・・。・・・・・・愉快と言ってもいい。だが、お前たちを帰すわけにはいかない」
「「となれば・・・・・・?」」
私とお嬢様の声がそろう。
「ここで決着を付ける!」
赤服はそう言って私たちから距離を取った。
「「おう、上等だぁっ!!」

†††