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さまよう羊のように 8-10

†††8-10


「初めまして、だな」

黒の高級車の中からキツネのように鋭い目つきをした男が顔を見せた。
ココ、ナッツ、ギャットは同時にこの男はマフィアだと理解した。男は彼らの表情を見て満足げに言った。

「逃げようとするな。もうお前たちは囲んである。無駄なことはするべきではない。・・・・・・そうは思わんかね?」

車の中からうすく笑みを浮かべて男は部下に合図する。すぐに数人のマフィアが三人を取り囲む。構えもせず手に銃を持っていた。
そのとき、ギャットが怪我をしているにも関わらず目にも止まらぬ速さでマフィアの一人から銃を取り上げ、そのマフィアの手を後ろ手に取り、抵抗できなくして人質にした。ココとナッツもギャットの邪魔にならないように素早く背中合わせに陣形を取った。

しかし、車の中の男は一切慌てた様子を見せずに、
英語で、
三人に話しかけた。

「英語は話せるかね?ならば聞くがいい。我々は君たちを決して逃がし
はしない。たとえその鉄砲玉を見捨てることになっても、だ。悪いことは言わん。その男を放せ」
「断ったら?」

英語で聞き返したギャットに男は肩をすくめた。

「そいつごと君たちを穴だらけにするだけさ。簡単だろ?なあに心配は要らんよ。部下の私に対する信頼は揺らがないように上手く交渉するフリはするさ」

ギャットはその男と睨み合っていたが、すぐに鉄砲玉と呼ばれた男を放して銃を捨て、両手を挙げた。逃げきれないと悟ったのだ。

「わかった。降参だ」


†††
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さまよう羊のように 8-9

†††8-9


三人は街路樹めがけて四階の高さから飛び降りた。窓からぴょんっと。今まさにココ、ナッツ、ギャットの三人の内蔵は自由落下によってふわふわと浮き上がりつつあった。

「「「~~~~ッ!!!!」」」

声にならない叫び声とともに三人は落下し、その視界には街路樹が近づいてくる。
ぼすぼすぼすっ。三人が街路樹の横に取り付き、枝を必死につかもうとする。しかし、木は彼らの衝撃を和らげてはくれたものの、枝をつかもうとする彼らの手はすげなく振り払った。
結果彼らはことごとく木から落ちた。
ココは落ちたときの体勢がよかったのか比較的早く立ち上がった。

「うー・・・・・・、痛え・・・・・・。おい、ギャット、ナッツ、大丈夫か?」
「なんとか・・・・・・」
「ちょいとやばい・・・・・・。アバラ骨イッちまったかもしれねえ・・・・・・」

ココ、ナッツはほぼ無傷だったが、ギャットは木から落ちる際、肋骨をモロに打ってしまったらしくかなり苦しそうだった。

「立てそうか?」
「大丈夫だ。さっさと行こう。奴らを巻かないと・・・・・・」
「おやおや、どこに行くのかね。折角見つけたというのに」

三人組のすぐそばに停まっていた黒い高級車の窓がゆっくりと下りた。


†††

さまよう羊のように 8-8

†††8-8


「マジか・・・・・・。でもそれしかないかなあ・・・・・・」
「しょうがないって。腹、括れよ」
「んなこと言ったってなあ・・・・・・」

ぼやくナッツをココが急かす。
銃をガンガン撃ちながらギャットが叫ぶ。

「それで行くんだな?行くんだな!?」
「ああ、行くよ!」
「あーもう!わかったよ!」

ココの返事を聞いて、ギャットではなくナッツが叫んだ。

「よし・・・・・・。お前ら床に伏せて耳もふさげ・・・・・・。よっ、と」

ギャットは何かを放り投げると部屋に倒れ込んで耳をふさいだ。慌ててココとナッツも同じように倒れ込み、耳をふさぐ。
ばぁん!という爆発音と振動が伝わってきた。どうやら手榴弾を投げたらしい。

「そんなモン持ってたのかよ・・・・・・」
「ああ、危なかった。そろそろ逆に使われる頃だったから気が気じゃなかった」
「あれで外の連中いなくなったんじゃないか?」
「甘いぜ素人さん。もっと他にひかえてる奴がいるよ。とっとと行こうぜ。蜂の巣にされたくなかったらな」
「よし」

三人でじりじりと窓に詰め寄り地面を見る。怖いがちゃんと見ておかなければ怪我をする。
ちょうどよい所に中々に高い街路樹があった。すぐ側にはかなり高そうな黒の外車が停まっている。運転手はまさか四階から人が降ってくるなんて想像もしていないだろう。心臓に悪いかもしれないが仕方ない。

「見てくれ正面。あそこに木が生えてるだろ。黒い外車の近く。アレに向かって飛ぶんだ。木をクッションにすれば死にはしないだろ」
「よーし、オーケー・・・・・・。じゃ、さっさと行こうぜ」

がん、とギャットが窓ガラスを蹴落とす。
下に人がいたらどうする、なんてことはもう誰も言わない。そんな場合じゃない。

「3、2、1、行くぞッ」

ギャットの合図で三人は街路樹めがけて思いきり跳んだ。


†††

さまよう羊のように 8-7

†††8-7

「・・・・・・遅せえよ」

ナッツがじろりとココを横目で睨みながら言う。

「悪かったな。でも作戦の途中でいきなり退場したのはお前だ」
「ふん。フォン達はどうしたんだよ」
「ちゃんと逃がしたよ」
「まさか俺の家じゃないだろうな。二ヶ月くらい前に吐いちまったぞ?」
「すげえな。四ヶ月も隠し通したのかよ」
「十回くらいガセを吹き込んだからな」
「てめえら、なに世間話してやがるッ!もっと緊張感を持てよ!銃声聞こえんだろうが、ああ!?」
「誰だよ?どういう状況だよ?逃げれんのかよ?」
「さあな。逃げられないかもな」
「ギャットだ!もしも全員生きて逃げれたら奇跡だよ!」

半ば自棄気味にギャットが叫ぶ。弾丸が切れたらしく床に落としておいた弾倉を拾い上げ、乱暴に拳銃に突っ込む。

「相手は何人だ?」

やたらと忙しそうなギャットにナッツは他人事とすら思える口調で質問する。

「五!」
「何?」
「五だよ五!ファイブ!」
「そりゃまずいな・・・・・・」
「ココ!逃げ方考えとけ!」
「あいよ。これなんてどうだ?」

ココがある物を指さす。ナッツはココの指さす物を見て眉をしかめた。

「ここは何階だ?」
「四階」
「バカだろ、お前」
「じゃあ、どうするんだよ?」
「・・・・・・」
「な?他にないだろ?」
「マジで?」
「マジで」

あー、と叫び声を上げてナッツが頭を抱える。
それを無視してココはギャットに呼びかけた。

「ああ?声かけんなって・・・・・・。マジか?」

ギャットは親指で窓を指しているココを見てわずかに血の気を引かせた。


†††

もうバレンタインですね。

さあさ皆さんお待ちかね(?)、「さまよう羊のように」の投稿ですよ!今回はクライマックスまでいくよ!

全くここの主は何回このセリフを吐くんだって事ですけれども。

今回はマジです。てゆーかもう書き終わりました。いやあ、めでたい。

いつから書き始めたっけ・・・・・・?たぶん丸一年と二ヶ月くらいは経ってると思います。7個も連載しててようやく1個片づいた・・・・・・。
全部終わるまで一体何年かかるんでしょうか?


次は何を書こうかなァ♪