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ドレス&タキシード! 2-4

今週も北の海の魔女は更新できないよ!ごめんネ!今回は代わりにドレス&タキシードの続きです。前回めっちや中途半端なところで終わってるやん…。
はい、今週はそんな感じです。魔女は来週更新できるといいね!



†††2-4


家臣が帰ってしまった後で姫様が執事に話しかける。姫様の持つグラスの中で氷がからんと音を立て、姫様を日光から守るパラソルが風に揺れる。

「あんた、本題に触れてないわよね」
「え?」
「え、じゃないわよ」

言われて執事は本題本題、と考え始めた。そして新人メイドエリーの顔を見るや、素っ頓狂な叫び声をあげた。

「エリーが失くしたブローチ、あんた一人で探しなさいよね」

姫様は残った紅茶をずずっと飲み干すと立ち上がり、日陰から出てまぶしそうに目を細めた。

「暑い!パラソル!」
「はいいっ!」

落ち込む間もなく執事はパラソルを引っこ抜くとお嬢様を日差しから守るために走っていった。


***


「ううう、申し訳ない。すっかり忘れてた」
「いいんですよ、こうして探してくれてすごく嬉しいです」

耳慣れない感謝の言葉に少年執事は思わず感極まってしまう。

「ど、どうして泣いてるんですか!?」
「ごめん、この城の中にはそんなこと言ってくれる人いなかったから」


・・・・・・執事と新人メイドのエリーは彼女が失くしたというブローチを探して城の中を歩き回っていた。

話は少し(前々々回)にさかのぼる。廊下で泣いていた少女エリーは実はこの城に来た新人メイドさんであった。案内メイド(たぶんアリエル・A)はふらっとどこかに消え(どうせ皮下脂肪でも増やしていたのだろう)、あてどなく城をさまよった挙げ句、両親から奉公に行く娘に渡されたブローチを失くす始末。
不運には違いないが、そもそもこの城への勤務が決まった時点で既に彼女は不運だと言えよう。

「・・・・・・まあ、がんばるしかないさ」
「はあ・・・・・・」

先輩のこの上もなく実感のこもった言葉に新人はあいまいに相づちを打つ。彼女はどうやら常識人のようなので、三日もすれば先輩と同じ死んだ目ができるようになるだろう。いや、二日か。

「ところで城に来てからどこを通ったのかな。それがわかれば探しやすいんだけど」
「わたし方向音痴なもので・・・・・・」
「まあ、仕方ないか。この城、ただでさえ無駄に複雑だからなあ。無駄に」

そのとき、メイドのBと出くわした。

「誰がBよっ!」
「まだ何も言ってないよ」
「言われた気がしたのよ。・・・・・・ところでアンタ何してんの。仕事は?」
「すっぽかしてきました」
「すっぽかしてたんですか!?」
「新人の前で何言ってんのよ、アンタはっ!」

ベロニカは(突如出現した)ハリセンで執事をぶっ飛ばした。

「ふっ・・・・・・。仕事とは・・・・・・サボるためにあるッ!!!」
「ないわよっ!」

‥‥‥ベロニカの制裁はその後、五分間続きました。


†††
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詰みゲー! 5-1前半

北の海の魔女の次話を加筆修正する時間が無いので代わりに詰みゲー!を掲載します。まだ詰みゲー!の定期更新はしません。こいつの方がもっと書けていないので。本当にその場しのぎです。来週こそは北の海の魔女を載せます(超希望的観測)。
なお、今回の話は修正されるかもです。そこんとこヨロシク (*´∀`*)ノ!

五章から〈〉とか《》の付け方が変わります。あんまり気にしないで欲しいです。


第五章  盤上の仮面舞踏会

†††5-1 選択


〈隠者の忍び屋敷《ハイドアウトマンション》〉の中。玄関ホールにて。数十の蝋燭の灯を携えたシャンデリアの下で、勇者ジョンと将軍シャープを仲間が取り囲んでいた。旅立つ彼らを見送るためだ。

レイン中佐がいつになく真面目な顔をして指を三本立てる。彼女の瞳の中で蝋燭の灯がゆらゆらと揺れた。

「さて、勇者サッキー・ジョン君。セントリア大陸に向かうには三つの経路があります。一つは陸路。〈パンサー〉という乗り物と列車を乗り継いで〈陸橋《グランドブリッジ》〉を越えて中央大陸《セントリア》に入ります。目立たないため、危険性は最も低いでしょう」

レインが立てていた薬指を折る。残りは二本だ。

「次は海路。やはり〈パンサー〉と列車に乗り港町に向かいそこから魔動船〈ダック〉に乗り換えて航行し、中央大陸《セントリア》に侵入します。海中に魔物はいませんが、飛行型からの襲撃を受けるか上陸の際に待ち伏せを食らう恐れがあります」

レインが中指を折り、最後に人差し指が残った。

「最後は空路です。〈キャシャラト〉という魔動飛行船に乗って移動します。首都から空を一直線に突っ切って中央大陸《セントリア》に侵入します。この経路が最も危険ですが同時に最も早く中央大陸《セントリア》に上陸できます。ジョン、一体どの経路で行きますか?」

ジョンはレインの問いかけに間髪入れずに答えようとした。
しかしジョンは途中で口を閉ざしシャープの顔を見上げた。そんなジョンにシャープが厳しい声で言い放つ。

「ワシの顔色など伺わなくていい。今回の作戦のリーダーはお前だから好きなように決めるがいい」
「ええ、俺がリーダー!?」

ジョンが驚いてレインやオーレンの顔を見ると二人とも頷いた。すでに相談してあったことのようだ。
ならば、とジョンは晴れ晴れとした表情で断言した。

「空路で行く。俺たちは一刻も早くミリアを助けなければならない。だから空路以外の選択肢は、無い」
「やはり空路ですか。せいぜい気を付けてくださいね」

レイン中佐はやれやれ、とでも言いたげに首を振ると玄関ドアへ歩いていった。

「それでは、あなたの言うようにマジで一刻の猶予も無いのでとっとと出発しましょうか」

レイン中佐が屋敷のドアを開くと、外から風が吹き込んで彼女の髪をひらりと靡かせた。その様がジョンにミリアを思い出させた。思わず拳をきつく握りしめるジョンの肩をロベルトが叩く。

ジョンは振り返り、ロベルトだけでなくクラリス、キティにも宣言した。

「必ずミリアを連れて帰る。それまでみんな元気で」
「健闘を祈っています」

ジョンが拳を突き出すと、ロベルトは黙って自分の拳を突き返した。次にクラリスが、続いて彼女に抱えられたキティが小さな足でそれに倣う。

ジョンは寝食を共にした仲間たちと別れを済ませるとシャープたちと共に屋敷を出ていった。


***

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今週は勘弁して!

タイトル通りです。今週は休載します。予告しといて休載してすみません。日曜日くらいに(可能であれば)載せます。

北の海の魔女 111

†††111


地に伏したレイケンの元へホルトゥンが歩み寄った。風が吹き抜けて砂埃が舞い上がり、ホルトゥンが目の辺りを覆う。
ホルトゥンがレイケンの傍へ近づいてみると、数十本の矢を受けながらもレイケンにはまだ息があった。瀕死の重傷を負ったレイケンを見てホルトゥンが嘆息する。

「だから言ったじゃないか。容赦しないって」
「く……ぅ……。……一体、何を……した……」
「竜だよ」

レイケンの目はすでに虚ろであり、焦点も定まっていなかった。そんなレイケンの問いかけにホルトゥンが静かに答える。

「〈幻影〉を使って城門の兵士たちに竜を見せたんだ。君が立っている場所に竜の〈幻影〉を写して、城門にいる左大臣に『竜を殺せ』と命令させたのさ」

ちなみに今現在ホルトゥンとレイケンが矢で射抜かれていないのは、竜の〈幻影〉が別の場所に移動したからだ。城門の兵士たちはいもしない竜に向かって今もせっせと大量の矢を放ち続けている。

「どうだい、いい作戦だろう。……って、聞いてないじゃないか」

いつの間にかレイケンは意識を失っていた。
ホルトゥンは振り返り、城門の近くにいたグルップリーに手招きした。グルップリーがホルトゥンの馬を連れて近くまで来るとホルトゥンは指示を出した。

「グルップリー、〈盾〉を外すのを手伝ってくれ」

ホルトゥンとグルップリーは〈盾〉とレイケンを繋いでいた皮のベルトをナイフで切り、〈盾〉を取り外した。ホルトゥンは〈盾〉を手に取ると、自分の馬の背に乗せた荷物鞄に押し込んだ。
〈盾〉を積み込み、両手をはたいて埃を落とすホルトゥンにグルップリーが問いかける。

「・・・・・・ この後はどうするんだ?」
「レイケンを連れて陣に戻る。シャインはそれで納得するさ」
「使者を連れて帰ればよかったからな。この将軍も使者と言えば使者みたいなものか」
「そういうこと」

グルップリーの視線がレイケン将軍の全身にくまなく突き刺さった矢に注がれる。

「ところで将軍はまだ生きているのか。とっくに死んでるなんてことは無いだろうな?」
「大丈夫だよ」

そう返事をしてホルトゥンが携帯鞄から林檎ほどの大きさの小瓶を一つ取り出す。その中には真っ黒な液体が入っていた。グルップリーが液体の色味を見て気味悪そうな顔をする。

「それは何だ?中身は?」
「魔法薬だよ。これで傷が治る」

ホルトゥンはその黒い魔法薬を数滴、レイケンの口に垂らした。
これでよし、と呟いてホルトゥンが小瓶の蓋を閉める。

「これでレイケンは無事だ。しばらくすれば意識が戻るよ」
「本当か?」
「ああ。さあ、さっさと陣に戻ろう。シャインが首を長くして待ってるからね」

そう言ってホルトゥンはニヤリと笑った。


†††


次回更新は来週水曜日です。