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詰みかけのゲームみたいな世界に迷い込んで1-12,1-13

†††1-12

「勝負?」
「そうよ」
さきほどの可愛らしいだけだった少女はもうすでに真剣な顔つきになっている。まあ、まだ十分すぎるほどにきれいだが。
「あんたは・・・・・・あたしたちの誇りを地におとしめた。その報いよ」
そう言ってちら、と地面に落ちた紙切れ、チラシを見る。
紙切れ一枚で大げさな、とは思ったが、それが気に障ったのなら謝るべきだろう。
「ごめん。ごめんなさい。そこまで大切にしているとは思わなくて」
そう俺が謝っても少女は頑なに首を横に振った。
「ダメよ。もう勝負することは決まった。覚悟なさい」
あまりに頑固なので、ついカチンと来てしまった。
「・・・・・・謝ってるじゃないか!もういいだろう!」
「うるさい!決着をつけるわよ!表に出なさい!」
「わかったよ!やりゃあいいんだろうが!」
俺は勝負に乗ってしまった。

†††1-13

表、店の外で俺と少女は互いににらみ合った。
「勝負のルールはあたしが決めるわよ」
「好きにしろよ」
ふ、と少女が笑う。
「勝負は『ケンカ』。次の鐘が鳴るまで、この町の中から出ずに行うわ。『参った』と言う、あるいは立てなくなった方が負け。あたしが勝てばあんたはレジスタンス入り。あんたが勝てば放免。それでいい?」
「一ついいか?」
「何よ」
俺が口を挟むと少女は冷たい目で俺を見た。
「俺はお前に手を出さない。悪いけど女に手を上げるなんて死んでもごめんだ。あと、俺が勝ったときのうまみがない。だから、勝負のルールを変更してほしい」
少女は腕組みし、少し考えて言う
「どんなふうに?」
「俺は手を出さない。鐘がなるまで俺が立っていたら俺の勝ち。俺が『参った』と言ったり、立てなくなったらあんたの勝ち。で、俺が勝ったら・・・・・・そうだな、金をくれ」
「金?」
「生憎と一文無しなんで」
「・・・・・・まあ、いいわ。それで文句無いわね?」
「無論だ」
「開始はいつでもいいかしら?」
「いい」
「じゃあ、始めるわよ」
そう言うやいなや少女は懐に手を突っ込み何かを取り出そうとした。それを見て、いや、見ずに俺は一目散に回れ右して人気のない路地に向かって走り出した。
女の子のぽかんとした顔が目に浮かぶようだ。巻いてしまいさえすれば俺の勝ちなのだ。
「甘い!」
腹に重い何か、がめり込ん、だ・・・・・・。
俺は思わず膝をついた。少女の細い足が見える。俺の目の前に立って俺を見下ろしている。
「言ってなかったっけ、あたし魔術師なの」

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