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詰みかけのゲームみたいな世界に迷い込んで1-19

†††1-19

「じゃあ、いいわね?レジスタンスに入ってもらうわよ」
「ああ、いいよ」
我ながら不機嫌な声だ。
「あんた、勝負に負けたのがそんなに悔しいの?」
「ふん」
俺たちは今、先ほど少女に勧誘を受けた店にいる。店としてはありがたい客だろう。日に二度も来る客などそういまい。
「あんた、俺が断ったとき驚いてたろ。あれは何でだ?」
「ああ、あれね・・・・・・。それはそうと、あたしはミリア。あんたあんたって呼ばないでちょうだい」
「ああ悪い。・・・・・・ミリア?」
思ったよりも呼びにくかった。
「・・・・・・みっちゃん、じゃあダメか?」
「・・・・・・ダメよ・・・・・・」
「・・・・・・わかった」
ミリアは一息ふうっと吐くと説明を始めた。
「あのとき驚いたのはね、あたしが使ってた魔術に関係してるのよ」
「魔術?」
「そう。弱いんだけど、異性を誘惑して肯定しかさせなくするの。だから、あんたに効かなかったからびっくりしたわ」
ミリアは明るく笑った。この笑顔は好きだな。俺は黒くて微妙にまずい例の茶をちび、と飲む。
「あんた・・・・・・本当は女なの?」
口に含んでいた茶を吹き出してしまった。
「お前なあ・・・・・・。あと、俺は坂井翔太ってんだ。俺も坂井か翔太って呼んでもらおうか」
「サカイ、ショウタ?妙な名ね。サッキー・ジョンでいい?」
「絶対ダメ」
「ダメ?」
「・・・・・・・・・・・・ショウタ、で」
「・・・・・・わかったわ。ショウタ、ね」
ふう、とため息一つ吐いて俺は答える。
「当然俺は女じゃねえ。・・・・・・聞きたいんだが、効かない条件ってあるか?」
「効かない条件?・・・・・・覚えてないわ」
「適当だな、いいのかそれで?」
「使えれば問題ないわ」
「へーえ・・・・・・」
そこでミリアははーっとため息をついた。
「だからね、あんたに魔術が効かなくて驚いて、しかも直後に手を払われたからかっとなったのよ。悪かったわ」
「もういいよ」
俺は手を振って気にしてないそぶりを見せた。

その時俺たちが囲んでいるテーブルの下からにゃあ、と小さな鳴き声が聞こえた。
「あら。キティ、お帰り」
ミリアがテーブルの下に現れた黒猫に手をさしのべる。黒猫はミリアの手から肩へと登った。
<ただいま、ミリア>
猫がしゃべった。
「あ、猫がしゃべった」
「<え?聞こえるの?>」
「え、ああ、うん」
猫とミリア両方に聞かれて俺は少しどもりながら答えた。

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