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北の海の魔女 62.0

†††62.0

「で、『幻影』って?」
「ああ、そうだったね」
ホルトゥンは長い木の棒で火をいじりながら少年の問いに応えました。
「『幻影』は認識をいじる魔法なんだよ」
「認識?」
そう、と応えつつホルトゥンはすこしずつ燃えだしてきた火に扇で風を送りました。
「僕の魔法、『幻影』はあまり離れていないところにいる人の認識を狂わせるんだ。まあ、五感だね。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、試したことはないけど多分味覚も」
「実体を出したりはしないの?」
「?どういうことだい?僕は何も出さないよ。煙とかを人の形にしてとかも無い。現実には何も変わらないけどただ認識だけが狂うんだ」
少年は近くの川から汲んでおいた水や持ってきていた食材を簡易のテーブルの上で調理し始めました。
その調理の合間にも質問を重ねます。
「味方には効かないようにできる?」
「そいつは難しいね。なんせ範囲内にいる人間には必ず作用するから。僕にさえ効くんだ」
「え?」
少年はホルトゥンの言葉に思わずナイフの手を止めました。
「それって大丈夫なの?自分で自分にだまされたりとか・・・・・・」
「ああ、それは大丈夫さ。僕には現実も平行して『視えてる』からね。僕自身が『幻影』かどうかわからなくなることはないよ」
ホルトゥンは勢いづいてきた焚き火に二、三本薪をくべてながら言いました。
「そうか。でも味方にも『視せて』しまうのか・・・・・・。あ、そうだ。もし『幻影』の兵士の槍で敵の兵士を突いたらどうなるの?怪我もするの?」
少年は食材片手に、まだナイフの手を止めたまま質問しました。
「怪我か・・・・・・。『幻影』で怪我を演出すれば本人は『怪我を負った』と認識することはする。ただ実際に、現実的な意味での怪我はしない。そうだな、僕の『幻影』で攻撃はあまりしない方がいい」
「どういうこと?」
ホルトゥンのその言葉に少年は眉をひそめました。

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