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詰みゲー! 3-11

†††3-11

「お疲れさまです、お嬢様」
私は夕方まで大木に手を当て続けていたお嬢様にりんごを差し出した。
今、お嬢様は練習で神経をすり減らしたためか大木の下に大の字になって寝転がっている。
「いらん」
お嬢様はりんごにちらりと視線をやると、寝返りを打って向こうを向いてしまった。私はりんごを持った手をゆっくりと引っ込めた。

「・・・・・・なあ、オーレン」
「はい、お嬢様」
お嬢様はこちらに目を向けずに、夕日の沈んでいく様をじっと見つめていた。
「私って才能無いのかな・・・・・・?」
「無いですね」
お嬢様が頼りない声で問いかけた言葉に私は即答した。
これには私自身も少し驚いた。お嬢様を奮い立たせようと言った言葉だったはずが想像以上に口調が乱暴だったからだ。
「・・・・・・やっぱり・・・・・・」
お嬢様はいつもなら怒りだしただろうが、今は別。
一日中ずっと集中しっぱなしで、精神的にまいっている今は反撃もできないのか。
お嬢様は寝返りを打ったまま、黙り込んでしまった。
夕日もほとんど沈んでしまって、辺りは段々と暗くなっていく。

「・・・・・・それでいいんですか?」
寝転がり、押し黙ったままのお嬢様に私は一言だけ質問した。私の言葉はまだややぶっきらぼうだった。
「・・・・・・何が言いたい?」
こちらに背を向けたままでお嬢様がややトゲのある声色を出す。
「お嬢様はいつまでそうやって寝ていらっしゃるおつもりですか?」
「・・・・・・別にいいだろう。少しくらい」
「そう思いますか?」
「・・・・・・一日中練習してたんだぞ」
「あんなの大したことありませんよ」
途端にお嬢様は起きあがり、真っ赤な顔で叫んだ。
「お前はッ!お前という奴はッ!なぜ私の神経を逆撫でするようなことを言うのだッ!!」
「・・・・・・お嬢様、」
「黙れッ!口を開くなッ!」
私の言葉をお嬢様は叫び声でかき消した。
お嬢様は小さな手をぎゅっと握りしめると低い声で言った。
「・・・・・・帰るぞ。支度をせよ」
「・・・・・・。・・・・・・わかりました、お嬢様」

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