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さまよう羊のように 8-3

†††8-3

ギャットがゆっくりとドアノブを回し、ドアそうっとを開ける。
それに合わせてココが拳銃を下に向けて中に入る。
部屋に入ったところの廊下には誰もいなかった。誰かがドアの開いた音に気づいた様子もない。
続いてギャットがゆっくりと後ろから入ってくる。
ギャットがドアを大きく開け放ち、閉まらないようにする。音を立てないためだ。

ココとギャットが前後を入れ替える。やはり本職の人間が先行すべきだろう。
ギャットがじりじりと音もなく廊下を進み、やがて角にたどり着いた。
その先は部屋だ。普通なら部屋には行って三、四歩のところで右に曲がり、大部屋に入るものだが。
ココにはその角が生死の境にさえ思えた。
ギャットも同じようなことを考えていたのだろう。でなければ角で一瞬立ち止まり銃を構え直した意味がわからない。

ギャットは意を決したように短く息を吸い込み、バッ、と身を大部屋にさらし、同時に大部屋にいるであろう人間に銃を向けた。
それをココは廊下で銃を構えて見ていた。
しかし、ギャットは銃を構えたまま微動だにせず、その表情は堅いものから徐々に崩れて完全に困惑したものへと変わった。
挙げ句、ココに顔を向けた。
「おい、これはどうなってるんだ?」
ココは角からひょい、と頭を出して見た。
大部屋には誰もいなかった。

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