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詰みゲー! 3-14

†††3-14

「お、お嬢様・・・・・・!」
「・・・・・・入るわよ」
お嬢様は無表情のままで、そう私に告げると半ば私を押し退けるように部屋へと入ってきた。そのまま部屋を横切り、部屋の真ん中に陣取った。
「椅子は無いの?」
「は、はい。こちらに」
私は急いで椅子を部屋の隅から取ってきた。
しかし、表面にホコリが積もっていた。
「ちょ、ちょっとお待ちを」
「いえ、いいわ。ベッドに座るから。その椅子にはお前が座りなさい」
そう言うとベッドの端にちょこん、と腰掛けた。
やはり表情は無く、ただじっとこちらを見つめているだけだ。

「お嬢様。私は、」
「わたしが悪かったわ」
目を合わせることなくそっぽを向いて一息に言った。
いきなりのことで私は面食らってしまった。
おそらくは目をまん丸くしたのであろう私の顔をちらりと見てお嬢様は少し笑った・・・・・・気がする。
「さっき、木の下でお前はわたしを挑発したろう。あれは効いたぞ」
「・・・・・・申し訳ありません」
「よい」
うなだれて謝辞を述べる私にお嬢様はただ手を払っただけだった。
「あのような言葉がわたしには必要だとお前はそう思ったのだろう?・・・・・・わたしはどうしても魔術を覚えなければならないのだ。あんなことくらいで弱音を吐いていてはいけない・・・・・・よな?」
お嬢様は言葉の最後で悲しげな微笑を浮かべて、少し視線を下へ落とした。

お嬢様は普段から強気な態度でいるが、十歳そこそこの女の子でしかないのだ。
魔術ができないことで他の子に対して引け目を感じ、
その差を埋めようと必死になって、
でも辛さで弱音を吐いてしまいそうになる。

それのどこがいけない?
弱音なんていくらでも吐けばいい。

しかし。

しかし、お嬢様は貴族の娘だ。
例え誰も見ていなくとも、高潔で誇り高く人々の規範たらねばならない。
故に、私はお嬢様に優しい言葉をかけることなどできない。厳しい言葉を、激励の言葉を、かけることしかできないのだ。

私は椅子から立ち、床にひざまずいた。お嬢様が驚いた顔を見せる。
私は頭を垂れ、激しい自己嫌悪に陥りつつ次のような言葉を吐いた。

「お嬢様、その通りでございます」

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