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詰みゲー! 3-34

†††3-34

時間が一瞬、停まったように感じた。
「お、お嬢様?」
私の口からおろおろと慌てた声が出る。
このとき、私はほぼ完全に赤服の存在を失念してしまっていたが、幸運にも彼は攻撃してこなかった。
「離して下さい。一人で立てますから。・・・・・・あなたは、」
お嬢様は立ち上がり、赤服を見て動きを止めた。
「敵ですね」
お嬢様のその言葉に赤服の目がやや細く険しくなった。

†††3-35

「・・・・・・どうしてそう思うんだ?」
赤服が静かに問いかける。
「勘ですよ、ただの」
お嬢様はにこっ、と『敵』に笑いかける。
「勘で他人を敵と断定するのか、お前は?」
「私の勘は当たるのよ?」
ふわふわとした笑みを浮かべてお嬢様は応える。
しかし、その表情は私が今までに見てきたお嬢様のどんな表情とも違っていた。
「記憶が無いんだろう?なぜそんなことがわかる?」
「それも勘よ♪」
「ちょ、ちょっと待った!」
どうした、という顔で二人はこちらを見る。
いや、信じられないのはこっちだ。
「き、記憶が無い・・・・・・?お嬢様のか?」
「あら、お嬢様っていうのは私のことかしら?」
お嬢様がふふっ、と嬉しそうに笑う。
赤服がやや呆れたように説明する。
「・・・・・・さっき、こいつは明らかにお前のことがわかっていなかっただろう。なら記憶の欠損は自明。程度はわからないが・・・・・・」
「そういうことよ」
お嬢様がにこにこと赤服の説明を裏付ける。
「そんな・・・・・・」
がっくりと崩れるように落ち込む私にお嬢様は駆け寄り、私の頬をむにっ、と引っ張った。
痛いですよ!と抗議する私を見てお嬢様はからからと思いっきり笑った。
「あなたが落ち込むことは無いわよ。これは私の問題。そして、私は別に困ってない。なら問題ないじゃない?」
「いやいやいや、おかしいおかしい。記憶喪失は当人だけの問題じゃないんですよ。だから・・・・・・」
「あーはいはい。わかった、わかりましたよー。早く思い出すよう努力しますー!」
「お願いしますよ」

「お前たち・・・・・・」
ん、とお嬢様と私は発言した赤服の方を見た。
「俺のこと忘れてただろう?」

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