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詰みゲー! 4-13

†††4-13

翌朝、部屋を出てばったり出くわしたミリアにジョンは昨日の訓練の成果を自慢げに聞かせた。

「聞いてくれよ、昨日は魔力の流れが感じ取れて、視えるようにもなったんだ!」
「へえ、やるじゃない。まぁ、あたしはその遙か先にいるけどね!」
「へん!すぐに追いついてやるよ。そん時になって泣いても知らないからな」
「泣かないわよ。泣くわけないでしょ、バカじゃないの?」
「バッ・・・・・・。バカって言った方がバカなんだぜ」
「うるさいわよ、サッキー・ジョン」
「てめっ・・・・・・!その呼び方キライって知っててわざとか!」
「さあねー」
「待てよ!」

騒がしいジョンとミリアが一階、左中央にある食堂の扉を開けると、シャープがすでに席に着いて本を読んでいた。

「おや、おはよう。二人とも。朝から元気だな」
「「おはようございます」」
「息もぴったりだ」
「ははは。そんな、ことは、ないですよ」
「ええ、そう、ですわ。ホホホ、ホホ」

二人は肘で互いを小突き合いながら笑顔で答える。そこにベンジャミンも現れた。

「おはようございます、シャープ。おはよう、二人とも。・・・・・・なんだ、えらく元気だな」
「おはよう、君もそう思うだろ。仲がいいんだな、この二人は」
「おはよう、兄さん。仲なんか、別に、よく、ないわよ」
「おはよう、ベン。そうだよ、ぜんっぜん、よく、ない」

互いに互いの顔を手のひらで押し合っているのを見てベンは思う。
(そういうのを仲がいいって言うんだよ。しかし、だとすると・・・・・・)

「おい、ジョン」
「なに?ベン」
「お前、俺がミリアを嫁に出させると思ったら大間違いだぞ」
「・・・・・・なぜそれを俺に言うのか全くもって理解に苦しむね」

なんやかんやでいつの間にか現れたロベルトと共に全員が席に着き、朝食。
ジョンはパンをむしり、ミリアは紅茶をすすり、ベンは目玉焼きを切り、ロベルトはベーコンを噛み、シャープは食後のコーヒーを飲む。

「ねえ、ロベルト。わたし一度帰りたいのだけれど」
「なぜですか?」
「わたしキティを置いてきちゃったから。それに服も取りに行きたいし」
「構わないですよ。朝食の後で<鍵>を渡しましょう」
「カギ?なんで?」
「私が創った<鍵>があればいつでも屋敷に帰れるようになります。ただ<鍵>を回すだけでいいんです」
「ガチャッと?」
「ガチャッと」

ミリアの鍵を回す仕草を、ロベルトが真似る。行き来は自由なのか、とベンが感心した声を出す。

「まあ、私が許可した人間だけですが。くれぐれも無くさないように。作り直すのは面倒です」
「『導譜(スペル)』を使うの?」
「もちろん」
「『導譜』?」

耳慣れない言葉にジョンが反応する。途中で割り込まれてミリアがイヤそうな顔をする。

「『導譜』っていうのは、魔法の一種よ」
「ミリア、魔法の一種って言ってごまかすこと多くないか?」
「~~~~っ!いいのよ!そのうち習うでしょ!」

ミリアはパンを一つ腹立たしげにむしって食べた。


***


「ああ、それと近いうちに新しい客人がいらっしゃるそうです」
「その人たちもここに住むの?」
「そう伺っています」
「ほう、よりにぎやかになるな」
「どんな人が来るのよ?」
「そこまでは知らされていません。ただ・・・・・・」
「ただ?」
「どうも身分の高い方だそうなので無礼の無いように、とは言われました」

ロベルト以外の誰もが顔を見合わせた。
名前も教えないのにそんなことだけ教えるなんてどういうことだと、どの顔にも書いてあった。

「おっしゃりたいことはわかります。私も腑には落ちませんがくれぐれもその点に注意して下さい」

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