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詰みゲー! 4-14

†††4-14

朝食後にはシャープによる近接戦闘の指導が待っていた。
ジョン、ベンとシャープは中庭の奥にある道場の中にいた。ジョンの服は『屋敷』にあった動きやすそうなものに換えてきていた。

「最初はなにがいいかのぉ・・・・・・。剣術、槍術、短刀術、徒手・・・・・・。どれがいい、ベン?」
「さあ、剣術がよろしいのでは?」
「そうだな。ほら、木刀だ」

シャープはいきなり床に置いてあった木刀二本を手にとって二人に放り投げた。
なんとかキャッチしたジョンとベンの前でシャープが構える。
しかし、構えたままシャープは微動だにせずじっとしていた。

「・・・・・・」
「?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・あの、」
「ぜぇいっ!」
「・・・・・・」

おずおずと声をかけたジョンのタイミングに合わせるようにしてシャープは大声を出した。しかし、ジョンは特に驚くでもなく平然としていた。

「おや予想外。おぬしなら腰を抜かすと思っておったが」
「・・・・・・見直しました?」

ドヤ顔を決めたジョンにシャープは指でドングリでも拾ったような形を作った。

「この程度な。・・・・・・まずは、ベン。ワシと手合わせじゃ。構えよ」
「・・・・・・はい」

ベンがシャープからやや距離を取って木刀を構える。
ドングリに格の上がったジョンは急いで二人から距離を取った。

(二人とも隙が無いなあ・・・・・・。やっぱりその辺のチンピラとは段違いだなあ)

距離のあった状態から二人はじりじりと距離を詰めていく。

(そろそろかな?)

ジョンがそう思った瞬間、ベンが大胆に一歩踏み込み、斜めに斬り上げる。
その一閃をシャープは木刀をほとんど動かさずに受け流す。
その受け流しを受けたベンはシャープの目の前でつんのめった。

慌ててベンが地面に手を突き、木刀を構えながら振り向くと、そこには既にシャープの木刀が喉元に突きつけられていた。
ベンは信じられない、とでも言いたげに目を見開いて地面を見つめた。

(一斬りで決着がついた・・・・・・。それだけ実力差があるってことか)

「勝負あり。・・・・・・次はジョン」
「・・・・・・はい」

ジョンもベンと同じようにシャープから距離を取り、木刀を構える。

(あの受け流しを食らったら負ける。・・・・・・多分ただの受け流しじゃない。ベンの表情がそう言っていた)

したがって、ジョンの取った作戦は「待ち」。

(距離を詰めきった後、ベンは急に踏み込んで返り討ちに遭った。俺はベンよりも弱い。同じことをしても勝つことはできない)

ジョンは距離を詰めすぎないよう注意しながら、ぎりぎりのところでシャープを誘い出そうと切っ先をゆらゆらさせていた。
切っ先を払いのけたシャープを後出しで斬る、という作戦だった。

(まあ、そんなに上手くはいかないだろうケド・・・・・・)

などと思って後出しのチャンスをうかがっていると、気がつけばジョンの手から木刀が無くなっていた。
さらに、次の瞬間にはシャープの木刀が首元にあった。

「・・・・・・は?」
「勝負ありじゃ」

手がやや痺れていたのでグーパーして、ようやく何が起きたのかを悟った。
シャープはただ目の前にあったジョンの木刀を払っただけだ。そしてジョンの木刀は吹っ飛び、シャープが間髪入れずとどめを・・・・・・。
後出しのチャンスはしっかりとあったのだ。ジョンには何一つとして見えなかったが。

「はぁあ~・・・・・・。負けたぁ~」
「いや、なかなかよかったぞ。ベンの失敗を踏まえたところがな。ただ、実力差があり過ぎたな」

シャープがかっかっか、と高笑いする。そしてまた木刀を構えた。

「さあ、もう一本いくぞ!」

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