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詰みゲー! 4-17

†††4-17

「うう、寒い寒い・・・・・・」

その日の夜、ジョンは用を足すために屋敷の中をうろついていた。

「トイレは洋式がいいんだけどなあ・・・・・・。こっちじゃあ無理か・・・・・・」

現代っ子なジョンはこっちの世界では到底不可能なことをぼやいては寝ぼけ眼をこすりつつ、自分の部屋へ戻っていく。しかし、途中で中庭の戸が少し開いていることに気づいた。

(道理で寒いわけだ・・・・・・。なんで開いてるんだ?)

扉を開けて中をのぞくと、奥のベンチにミリアが座っているのが見えた。普段と違うミリアの様子に疑問を抱きつつもジョンはそそくさとトイレへと向かった。


(ふー・・・・・・、スッキリ!)

数分後、ジョンがトイレを済ませて部屋へ戻っていく。するとやはり中庭の扉は開いていた。
まさか、と思って庭をのぞいてみると案の定、ミリアはまだベンチに座ってぼうっとした顔をしていた。



「・・・・・・何してるんだ。こんな夜中に。風邪ひくぞ」

歩いて近づいてくるジョンにミリアが気づいた。ミリアは慌てるでもなく、淡々とした声で返事をした。

「・・・・・・ジョン?何しに来たの?」
「お前が独り寂しくベンチに座ってるからだろ。座るぞ」

ジョンがベンチに近づくとミリアは少し横にずれた。ジョンがそのスペースに座る。
ミリアはピンクのふわふわした寝間着を着ていた。髪もいつものようなカールはかかっておらず、ストレートに近かった。ミリアの隣は少しだけいい匂いが漂っていた。

「風呂上がりか?風邪引くぞ、本当に」
「平気よ。・・・・・・へ、へっくちゅん」
「ふっ・・・・・・」

ミリアの予想外にかわいいくしゃみにジョンは笑いだしそうになるのをこらえられなかった。

「・・・・・・なに笑ってんのよ」
「くっくっく・・・・・・、悪い悪い。ほら、これ着ろよ。少しはマシだろ」
「む・・・・・・。ありがとう」

ジョンが着ていた羽織を差し出すとミリアは案外素直に受け取った。やはり寒かったのだろう。

「・・・・・・で、何してたんだよ?」
「・・・・・・花を見てたのよ」
「花ぁ?」
「他に何があるってのよ」

突き放すようなミリアの言葉にジョンは苦笑いする。実は独りで座っていたミリアが心配だったのだが、それが取り越し苦労だとわかったからだ。

「ったく・・・・・・。でもここの花、きれいだよな。なんかホッとする」
「ロベルトの趣味らしいわ。毎日欠かさず世話をしていたそうよ。最近はシャープと分担してるらしいけど」
「マメだなあ」
「この花だけどね。イーストリアの、東の大陸の花が多いのよ。彼の生まれ育った所がイーストリアだったからでしょうね」
「へえ。俺、こっちの花好きだな。日本の花によく似てる」
「ニホン?」
「俺の故郷の国だよ。和ってわかるか?和」
「ワ?なにそれ?」
「説明しろって言われると難しいな・・・・・・。奥ゆかしさ、かな?そういうものをここの花にも感じるんだよ」
「ふうん。ワ、ねえ。まあ、わからなくもないわ。あたし、派手な花はあんまり好きになれない。なにか作りものみたいに見えて・・・・・・。作りものなんかよりもそのまま生きている花が好きよ」
「へえ・・・・・・」

そういえばミリアとこんな話をするのは初めてじゃないか、とジョンは思った。

「花か・・・・・・。あいつとも・・・・・・」
花蓮ともよくそんな話をした、と言いそうになってジョンは直前でやめた。
そのことにジョン自身が驚いていた。

なぜ?どうして花蓮の話をしちゃいけないと思ったんだ?どうして・・・・・・?

「ジョン?」
「・・・・・・いや、何でもない。花蓮ともこんな話をしたなあって・・・・・・」
「へえ。彼女はどんな花が好きだったの?」
「あいつは確かひまわりが好きだったな。生命力のカタマリみたいだからって言ってた。まさにあいつの象徴だな」
「ひまわりかあ。どこかにあったんじゃないかしら?」
「ホントか?」
「確かあっちじゃないかしら。探してみましょうよ」
「いや、いいよいいよ」
「いいから早く行くわよ」
「・・・・・・わかったよ。袖を引っ張らないでくれ」

ジョンはしぶしぶといった様子でミリアについていった。

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