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詰みゲー! 4-20

†††4-20

異変は朝早くに起こった。

「大変よー!!!みんな起きなさぁーい!!!」

午前五時の屋敷に黒い魔女の声が響きわたる。

「うるせぇー!!!!今何時だと思ってやがるぅー!!!!」

それに対して寝ぼけた勇者(仮)の怒号が返る。
ジョンの怒号の後、屋敷に一瞬の静寂が訪れる。静かになった、寝よう、とジョンは布団をかぶり直す。
直後、ジョンの部屋の扉がバァーーン!というものすごい音を立てて開いた。
戸口には黒い鬼の影があった。

「起きろっつってんだろうがァッ!!!」

鬼がジョンの布団を一瞬で取り上げる。

「うぅっ、寒い。何だ?・・・・・・ああ、冬か」
「寝ぼけんなッ!」

がつんっ☆


***


「・・・・・・ミリア、なんか頭が痛いんだが」
「寝起きだからじゃない?」
「・・・・・・コブになってるんだが」
「寝てるときにベッドから落ちたんじゃない?」
「・・・・・・俺は布団で寝てるんだが」
「さ!早く支度してよ。今から王女様がいらっしゃるんだから」
「・・・・・・王女様?」
「そ」

ミリアに文字通り叩き起こされて、言われるまま身支度を整えていたジョンの動きが止まる。

「あと三十分で王女様がこっちに来るから。準備できたら玄関広間に来てね、じゃ」

ミリアは言うだけ言って、手をひらひらと振りながら部屋から出ていった。


***


三十分後、ミリアの努力の甲斐あって、屋敷にいたメンバー、ジョン、シャープ、ロベルト、メイドさん一同、が玄関広間に整列した。メイドさんも含めると中々の人数であり、「お出迎え」という雰囲気が出ていた。
ちなみにベンは仕事の都合で今はいない。
いざ玄関ホールに集合してみると時間は十分にあったので整列したまま、ジョン、ミリア、シャープ、ロベルトの四人は小声で話し始めた。

(まさか今日来るとはなあ・・・・・・)
(予想外だったな・・・・・・)
(私は昨日再三言いましたが・・・・・・?)
(そうだったっけ?)
(そんなことはなかろう)
(だよねえ!)
(言いましたよ!忘れないでください!)
(アンタたち、静かに!)

ひそひそ話を始めたジョン達をミリアが小声でたしなめる。しかし、三十分後に着く、と言われて二十五分後時点から整列しているのだ。五分間待っているだけではあったが、やや退屈であった。

(王女様がいらっしゃるのよ、王女様!粗相があったらダメじゃないのーっ!)
(どうしたんだよ、ミリア。いつもだったらお前が一番だらけるところじゃないか)
(あたしがいつだらけてるってのよ、ああん?)
(いえ・・・・・・)
(だって、王女様よ?女の子の憧れなのよ?そりゃあ、尊敬もするわよ~)

ミリアが目を輝かせた瞬間、玄関のドアノブががちゃり、と音を立てて回った。


***


屋敷の人間が勢ぞろいして待っている前で、がちゃりと屋敷の玄関扉のドアノブが回った。
扉を開けて、ゆったりとした服を着た・・・・・・

おばあさんが入ってきた。
ジョンは一瞬、この人が王女!?かと思ってビビったが、おばあさんが脇に退いてドアを開けたのを見てようやく彼女が侍女であることに気づいた。

「どうぞ、クラリス様」

すると、ドアの向こうから紫色のドレスを着たお姫様が現れた。
さらりと肩まで垂らした黒の髪に、白い帽子、白い手袋、両耳に真珠のピアス。
何よりも印象に残ったのは彼女の容姿ではなく、緑の瞳に宿した強い意志だった。

「ウチがクラリスや!よろしゅう!」

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