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北の海の魔女 5.0

***

森の中をあるいてすぐに男の子はシカのむれを見つけました

「こんにちは」
男の子はむれに声をかけました

「おや、こんにちは。なにかごようかな?」
むれの長らしき一頭が男の子にたずねます

「じつは崖のところに動けなくなったオオカミがいるのです。彼のためにだれか食べられてはくれませんか?」

シカのむれはざわつきました。ただ長だけが男の子の目をじいっと見ていました

「なんだと!お前、わたしたちをばかにしているのか!そんなことするわけないだろ!」
「お前が食べられればいいだろう!」

むれの中の何匹かが声をあららげます

「わしが行こう」
そういったのは長でした

「そんな、長よ。やめてください」
「そうです。わざわざ食べられるひつようなどありません。オオカミなど死なせてやればよいのです」

「しずまりなさい。わしはこの子の目が気に入った。この子をこうさせる気にさせたオオカミにもあいたくなった。どうせもう永くないのだ、かまうまい」
そう長がいうとむれのあちこちからうめきごえが上がりました

長はかなしむ仲間にはかまわずにある一頭にはなしかけました
「今このときより長はお前だ。覚悟はできておるな?」
「はい」

新たな長となった一頭はなみだをながしながら、仲間たちにいいます
「みんな、長のわがままを聞いてやってほしい。みんなでおくりだそうじゃないか」

そういって新たな長はまえへ進み出て男の子にこうべをたれました
「たのみます」

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