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詰みゲー! 4-36

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屋敷の玄関ロビーで大きな鞄を持ったミリアが立っていた。それを見送るためにジョン、シャープ、ロベルト、クラリス、キティが集まっていた。ベンは外の世界にいる。ベンにはいずれ知らせることになるだろう。

「じゃあね、みんな。元気で」

ミリアが全員に別れを告げ、ポケットから小さな鍵を一つ取り出した。

「ロベルト。はい、鍵を返すわ」
「持っていてください」
「でも、あたしはもう・・・・・・」
「持っていてください。あなたはここの住人です」
「・・・・・・ありがとう、ロベルト」

ミリアはロベルトから鍵を返されると、シャープが普段の威勢のいい声とは打って変わったつらそうな声を出した。

「さみしくなるな」
「そんなこと言わないでください、シャープ。またいつか指導してくださいね」
「うむ。いつでも指導してやろう。待っておるぞ」
「はい、必ず行きます」

シャープと約束すると、ミリアは沈んだ様子のクラリスとハグした。

「ミリア・・・・・・」
「クラリス、笑ってよ。せっかくの美人が台無しだわ」
「・・・・・・こうかなぁ?」
「うん。それでいいわ。きっとジョンくらい簡単に落とせるわよ」
「うぅ。がんばるわ」
「がんばって!」

クラリスに小声でささやくとハグを解き、飼い主を見上げる黒猫の目を上からのぞき込んだ。

「ごめんね、キティ。どうしても連れていけないの」
<ミリアぁ・・・・・・!>
「キティ・・・・・・!」

ミリアは飼い猫を力強く抱き上げた。

<ミリアぁ、行かないでよ・・・・・・>
「ごめんね、キティ・・・・・・」

ミリアはキティを下ろすと、指を一本立てた。

「代わりに何でも一つ言うことを聞いてあげるわ。何がいい?」
<ミリアと一緒にいたい!>
「キティ・・・・・・」
「キティ、そのくらいでやめてやれ。ミリアが困ってるだろ?」
「ジョン・・・・・・」
<ジョンのバカ!本当はジョンだって、>
「ちょっと黙ってな、キティ」

ジョンはキティを抱き上げるとキティの口をムリヤリふさいだ。

「悪いな、キティ」
「ジョン、キティを頼むわね」
「ああ。ところでミリア、賭けの決着がついていないがどうする?」
「賭け?・・・・・・ああ、ひまわりのヤツ?」
「そうだ」
「・・・・・・もちろん、咲いてるのを見た方が勝ちよ」
「わかった。次に合う時を楽しみにしてるよ」
「はいはい。・・・・・・じゃあね」
「ああ。じゃあな」

ミリアは鞄を持って屋敷の玄関扉を開け、一度振り返り、全員に手を振ると、扉から外に出ていった。

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