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詰みゲー! 4-39

†††4-39


翌日の朝。

屋敷の一室でシャープ、レイン、オーレンの三人が長机を囲んで話し合っていた。シャープが「ジョンに手紙を読まれてしまった」と言って、二人を呼んだのだ。シャープはついでに外の状況も確かめるつもりでいた。

「すまんね、今忙しいだろうに」
「いえ、構いませんよ。ジョンにはショックだったでしょう。ジョンはどうなったんですか?」
「ああ、昨日はミリアを助けに行くと喚いていたが、まだ眠っている。目を覚ませばどうなることか・・・・・・」
「どうやって助け出すと?」
「さあな。ワシは聞いとらん」
「・・・・・・だから手紙はくれぐれも隠すようにと・・・・・・」
「まあまあ、オーレン。過ぎたことだわ。准将を責めてはダメよ」
「すまんな、大尉」
「・・・・・・いえ、こちらこそ言葉が過ぎました」
「・・・・・・さて、何が起こったのか聞きたいのだが」
「はい。ブリッジの第一防護壁に穴が開きました」
「どいつにやられた?」
「クイーン級の魔物です。詳細はまだわかりません。どうも未確認の個体のようですね」
「そのクイーンは無力化できたのか?」
「ベンジャミン中尉に封じてもらいました。今はオネ平野(第一と第二防護壁の中間の平原)で停止しています」
「どのくらい保つ?」
「二、三週間はいけると」
「よし。穴は塞いだか?」
「はい。ペパル准将の指示で」
「穴から魔物はどの程度侵入した?」
「ざっと五千」
「そうか。まあ、軽微な方だったな。キングの指示で侵入したと思うか?」
「はぐれたクイーンがただ暴走しただけではないか、という見方が大半ですね。キングが絡んでいれば万単位の敵が押し寄せるはずだ、と」
「それで中佐と大尉は?」
「・・・・・・私たちはキングの指示があった、と見ています」
「理由を聞いても?」
「防護壁はたとえクイーンでもそう容易く破れるようにはできていません。はぐれただけの個体がそこまでするとは思えないというのが一点。全力で壁を殴るわけですからね。私ならイヤです」
「・・・・・・そうか。もう一点は?」
「あの日、ミリアが大量のスキル保持者を連れてオネ平野北側で中間拠点の増設・補強の作業を行っていたのです。今回の襲撃で優秀な工兵がごっそり行方不明になりました。・・・・・・正直、偶然とは思えません」
「オネ平野は広い。工兵が作業していたら運悪くすぐ近くの壁が破壊されて襲撃されるなんてあまりに出来過ぎている、と?」
「何もそこまでは。ただ運が悪いの一言で片づけらていいとは思えません」
「まどろっこしいことを。本音は何だ。ハッキリ言え」
「・・・・・・間者が紛れ込んでいるかと」
「そうだ!ようやく認めたな」
「・・・・・・本当に裏切り者がいると?」
「いる。むしろいなければおかしい。・・・・・・中佐、間者が誰か探ってくれないか?」
「え、私がですか!?」
「ああ、まあ、多忙であれば誰か信用のおける人物に任せてもいい。とにかく私は中佐に依頼したいのだ。他の連中はしたたかな狐か尻尾を振るだけの犬かどちらかだからな。中佐のような者は少ない」
「・・・・・・わかりました。ではこの件はオーレンに任せます。・・・・・・いいわね、オーレン」
「お任せください、お嬢様」
「任せたわよ」
「ふむ。オーレンであれば安心だ。頼むぞ」
「はい。裏切り者をすぐにでも明らかにして見せます」


***


「さて・・・・・・、ひとまず、差し迫った対応については意見がまとまったな」
「これでなんとかなります。お時間をとりました」
「いや、時間ならある。ジョンが・・・・・・アレだからな。稽古がつけられん」
「詳しくは聞きませんでしたが、ジョンはどんな様子ですか?」
「手紙を読んだ直後、ミリアを助けに行くと喚いていたことは話したな?」
「ええ。それで今は眠っていると」
「実は昨日はあまり騒がしいんでワシが殴って気絶させたんだ」
「え・・・・・・?」
「そんな顔するな。傷つくだろうが」
「す、すみません。それで?」
「そのまま眠っておる」
「はあ・・・・・・、かわいそうに・・・・・・」
「・・・・・・オーレン大尉、おぬしはどう思う?」
「何がですか?」
「ジョンはミリアを助け出せるか?」
「限りなく不可能に近いでしょうね」
「レイン中佐は?」
「・・・・・・ジョンはどの程度まで仕上がったんですか?」
「体術はそこそこ、魔術は具象化まで」
「さすがにその程度では話にならないでしょうね。魔物と遭遇した瞬間に死ぬでしょう」
「スペルとスキルを習得したら?」
「その場合でもどんなスキルか見てみないと」
「まあそうだな」
「・・・・・・どうしたんですか、シャープ准将。何かお考えでも?」

シャープはにやにやといつもの意地の悪い笑みを浮かべた。

「耳を貸せ」


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