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詰みゲー! 4-42

†††4-42


平野。見渡す限り一面の平野が広がっている。どこもかしこも緑と空色で埋め尽くされている。

が、その平野に不自然なほどに細く、長い象牙色の塔が一つ立っていた。
その中にジョンは吸い寄せられるように入っていった。

***

「君はどんな夢をよく見ますか?」
「夢?」
「そーよ」

アニーがジョンの前で片膝を立てて座る。

「この前は仮面を付けた女の夢を見たよ。よく覚えてないけど」
「いつ?最近?」
「いや、屋敷に来る前」
「なあんだ」
「どう、いけそう?」
「だめねー。夢をあんまり見ないタイプよ。一番面倒くさい奴だわ。・・・・・・帰っていい?」
「ダメよ。仕事はキッチリしてって」
「しょうがないなあ。・・・・・・魔譜の件、頼んだわよ」
「はいはい」

レインとアニーのやりとりを見ながらジョンはシャープに質問した。

「アニーって何者?魔譜って?」
「魔譜は覚えてるか?」
「魔力を溜めとく譜を書いた札だろ?」
「そう。彼女は国軍の魔譜を製造している大会社の社長だ。まあ、それだけではないがな」
「社長!?俺と変わんない年なのに?」
「母親から継いだのだ。彼女はミルキーウェイ家の九代目当主だ」
「へー・・・・・・。ミルキーウェイ家って凄いの?」
「この国で十本の指に入る魔術師の名家だ。特に商業に特化した家だな」
「ふーん」
「あたしの話はそのくらいでいいでしょ?君は今すぐ寝なさい」
「は?」
「いいから寝なさい」
「え?どういうことだよ。え?」
「彼女のスキル『睡眠学習<スイミングスクール>』でスキルとスペルを習得するのよ」
「え?何?寝ればいいの?」
「「そーよ」」

最後はレインとアニーの返答がハモった。

かくしてジョン眠りにつき、アニー社長が魔女のような笑みを浮かべてすやすやと眠るジョンの頭の上で手をかざしたのだった。


***


見渡す限りの平野と一本の塔。

(ああ、夢か。あの社長のスキルのせいかな)

とりあえずジョンは塔を目指した。塔の入り口には「試練の塔」と書いた看板があった。ゲームみたいだな、と思いつつジョンはさっさと塔に入った。

「よーこそ」

入ってすぐの部屋にはジョンと同じ顔の男がいた。

「・・・・・・なんで同じ顔なんだよ」
「知らねえよ。そんなに不都合なことでもないだろーが」
「それもそうか。で、お前なに?」
「なにってなんだよ。番人だよ、番人。この塔の」
「へー・・・・・・」
「そっちは何しに来たんだ?」
「スキルをもらいに来た」
「あー、はいはい。アレね。じゃあ、とりあえずこいつと戦ってくれ」

男は指をパチンと鳴らした。すると部屋の中央にどこからともなく鎧の騎士が出現した。

「どこから出たんだ?」
「夢だからな。その辺は気にするな」
「ふーん。で、何?あいつを倒せばいいの?」
「そういうことだ。あ、あと今のお前の魔力の半分を魔譜にして渡せ」
「なんで?」
「魔力が無いとこっから現実世界に戻れないからな。預かってやるんだよ」
「ん?夢見てるだけなんだろ?なんで魔力が必要になるんだ?」
「細かいことを気にするな。いいからよこせ」
「ったく・・・・・・。仕方ねーなー」

ジョンは魔力を魔譜に込めた。

「あれ?俺スペル使えたっけ?」
「まあ、夢だからな。でも魔譜以外は使えないぜ」
「なんじゃそりゃ」
「背伸びは今の一回限りってことだよ」
「ふーん」
「じゃ、魔譜は確かに受け取った。存分にエヴリスと戦ってくれ」
「エヴリス?」
「ああ、あの鎧の騎士のことだよ」
「そういう名前なんだ」
「いや、今つけた」
「そんなんでいきなり呼ばないでくれる!?」
「じゃ、がんばれよー」
「おう」
「エヴリス」
「そっちかい!」


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