詰みゲー! 4-43
†††4-43
そんなこんなでジョンは試練の塔で鎧の騎士(エヴリス)と一騎打ちをすることになった。
ちょっと緊張してきたジョンは剣を具象化しながら(ジョンと同じ顔の)番人と雑談を続けた。
「そういえばこれが初めての実践だな。夢の中だけど」
「あ、言い忘れてたけど死んでも大丈夫だけど生き返れる回数には限りがあるから」
「何回くらい生き返れる?」
「えーと・・・・・・。まあ、一回くらいは生き返れるぜ」
「へー」
「まあ、一回目は何も考えず行けば?」
へいへい、と番人の言葉を流しつつジョンは前へ進み出る。
無言のままのエヴリスは近寄るほどにその圧力を増した。
(でかい鎧だな。2メートルはある。どうすれば勝てるかな?)
「始めていいかー?」
「いいぜー」
「じゃあいくぜー・・・・・・、始めッ!」
番人の言葉とともにエヴリスの瞳に光が灯った。
***
エヴリスは起動するやいなやその右腕に握っていた長剣をジョンに向けてすさまじい速さで振るった。
ジョンとしてはちょうどいい距離を取っていたつもりだったが、エヴリスの動きが予想以上に機敏であったこと、そして予想以上に自分が動けなくなっていたことが原因となって、ジョンの剣は弾き飛ばされた。
「くそッ!」
動けない自分に悪態をつく間にエヴリスはとどめのもう一振りを構えていた。上段に高々と振り上げられた剣は見上げるほどであった。
(くっ、動けねえ!)
圧力にすくみあがってしまったジョンであったが、必殺の剣が振り下ろされるとジョンは反射的に硬質のマテリアルを具象化した。
がいん!
腕で頭をかばいながらも繰り出したとっさの魔術は未熟ながらも効果を示した。
もっともそれは致命傷を避けた、という程度の効果であり、逸れた必殺の斬撃はジョンの左腕の肘のあたりをすっぱりと両断していた。
「あ、あ・・・・・・」
完全にパニック状態に陥ったジョンは再び剣を構えるエヴリスを目の前にして、背を向けて逃げ出した。エヴリスは狭い室内で大量の血を流して逃げる相手を静かに、微動だにせず、ただ見ていた。
ジョンは番人が立っている部屋の隅に駆け寄った。
「た、助けてくれ!」
「何?」
「左腕がっ・・・・・・。血が、止まらない!」
「当たり前だ。斬られたんだからな」
「ち、治療を・・・・・・、」
「ふん、バカが!どちらかが死ぬまでこの決闘は続く。治療なんてするわけないだろ」
「そんな・・・・・・」
「ほら、離れろ。エヴリスがこっちに来るぞ」
ジョンが振り向くとエヴリスがのしのしと近づいてきていた。
ジョンは再びエヴリスに背を向けて走り出した。シャープがこの様を見れば「情けない」と言って叱るだろう。
「はあっ、はあっ」
がしゃん、がしゃん。
「うっ、くうっ・・・・・・」
ジョンが走っているうちはエヴリスは部屋の中央に陣取るように歩いてジョンを追いかけていたが、ジョンが立ち止まったその瞬間、
がっしゃ、がっしゃ、がっしゃ、がっしゃ!
とものすごい音を立てて走り出した。
「ッ!!!」
興奮状態から醒めてきて強く痛みだした左腕をかばうようにジョンはまたダッシュする。
「~~~~~~っ!」
走るときの振動が左腕に激痛をもたらす。
***
そんなジョンの様子を番人はため息混じりに見ていた。
(こりゃあ、ダメだな・・・・・・)
番人の感想としては、「あいつ、完全にビビってるな」だった。
(まあ、初の実践で「鎧の騎士」じゃなあ・・・・・・。スライムとかがいいよなあ)
ジョンは初の実戦で出くわした敵の圧力にビビってしまった。ビビってるから、正常な判断ができない。判断できないからきちんと相手の力量が測れない。力量がわからないから、怖い。怖いから逃げる。逃げると、逃げ道のない部屋の中でいつか力つきて殺される。
(悪循環だなあ。あ、循環じゃないか連鎖か。恐怖を克服できればいいんだけどなあ。できるかなあ)
心配そうに見ていた番人の予想通り、ジョンは一分後に後ろから足を切られ、その三十秒後に後ろから心臓を斬られて死んだ。
†††
そんなこんなでジョンは試練の塔で鎧の騎士(エヴリス)と一騎打ちをすることになった。
ちょっと緊張してきたジョンは剣を具象化しながら(ジョンと同じ顔の)番人と雑談を続けた。
「そういえばこれが初めての実践だな。夢の中だけど」
「あ、言い忘れてたけど死んでも大丈夫だけど生き返れる回数には限りがあるから」
「何回くらい生き返れる?」
「えーと・・・・・・。まあ、一回くらいは生き返れるぜ」
「へー」
「まあ、一回目は何も考えず行けば?」
へいへい、と番人の言葉を流しつつジョンは前へ進み出る。
無言のままのエヴリスは近寄るほどにその圧力を増した。
(でかい鎧だな。2メートルはある。どうすれば勝てるかな?)
「始めていいかー?」
「いいぜー」
「じゃあいくぜー・・・・・・、始めッ!」
番人の言葉とともにエヴリスの瞳に光が灯った。
***
エヴリスは起動するやいなやその右腕に握っていた長剣をジョンに向けてすさまじい速さで振るった。
ジョンとしてはちょうどいい距離を取っていたつもりだったが、エヴリスの動きが予想以上に機敏であったこと、そして予想以上に自分が動けなくなっていたことが原因となって、ジョンの剣は弾き飛ばされた。
「くそッ!」
動けない自分に悪態をつく間にエヴリスはとどめのもう一振りを構えていた。上段に高々と振り上げられた剣は見上げるほどであった。
(くっ、動けねえ!)
圧力にすくみあがってしまったジョンであったが、必殺の剣が振り下ろされるとジョンは反射的に硬質のマテリアルを具象化した。
がいん!
腕で頭をかばいながらも繰り出したとっさの魔術は未熟ながらも効果を示した。
もっともそれは致命傷を避けた、という程度の効果であり、逸れた必殺の斬撃はジョンの左腕の肘のあたりをすっぱりと両断していた。
「あ、あ・・・・・・」
完全にパニック状態に陥ったジョンは再び剣を構えるエヴリスを目の前にして、背を向けて逃げ出した。エヴリスは狭い室内で大量の血を流して逃げる相手を静かに、微動だにせず、ただ見ていた。
ジョンは番人が立っている部屋の隅に駆け寄った。
「た、助けてくれ!」
「何?」
「左腕がっ・・・・・・。血が、止まらない!」
「当たり前だ。斬られたんだからな」
「ち、治療を・・・・・・、」
「ふん、バカが!どちらかが死ぬまでこの決闘は続く。治療なんてするわけないだろ」
「そんな・・・・・・」
「ほら、離れろ。エヴリスがこっちに来るぞ」
ジョンが振り向くとエヴリスがのしのしと近づいてきていた。
ジョンは再びエヴリスに背を向けて走り出した。シャープがこの様を見れば「情けない」と言って叱るだろう。
「はあっ、はあっ」
がしゃん、がしゃん。
「うっ、くうっ・・・・・・」
ジョンが走っているうちはエヴリスは部屋の中央に陣取るように歩いてジョンを追いかけていたが、ジョンが立ち止まったその瞬間、
がっしゃ、がっしゃ、がっしゃ、がっしゃ!
とものすごい音を立てて走り出した。
「ッ!!!」
興奮状態から醒めてきて強く痛みだした左腕をかばうようにジョンはまたダッシュする。
「~~~~~~っ!」
走るときの振動が左腕に激痛をもたらす。
***
そんなジョンの様子を番人はため息混じりに見ていた。
(こりゃあ、ダメだな・・・・・・)
番人の感想としては、「あいつ、完全にビビってるな」だった。
(まあ、初の実践で「鎧の騎士」じゃなあ・・・・・・。スライムとかがいいよなあ)
ジョンは初の実戦で出くわした敵の圧力にビビってしまった。ビビってるから、正常な判断ができない。判断できないからきちんと相手の力量が測れない。力量がわからないから、怖い。怖いから逃げる。逃げると、逃げ道のない部屋の中でいつか力つきて殺される。
(悪循環だなあ。あ、循環じゃないか連鎖か。恐怖を克服できればいいんだけどなあ。できるかなあ)
心配そうに見ていた番人の予想通り、ジョンは一分後に後ろから足を切られ、その三十秒後に後ろから心臓を斬られて死んだ。
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