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詰みゲー! 4-45

†††4-45

ジョンは《隠者の忍び屋敷》の一室でパッチリと目を開けた。
目を覚ましたジョンにアニー(社長)、レイン(白髪の少女)、シャープ(爺さん)、オーレン(元執事)が声をかける。

「おー、目が覚めたね。おはよ~」
「あ、ジョン。おはよう」
「おお、起きたか」
「おはよう、よい夢は見れたかい?」

ジョンはあくびをしながら答える。

「・・・・・・ん、おはよう。時間はどのくらい経ったんだ?」
「まー、二時間くらい寝てたね」
「そうかぁ」
「でも多分『夢』に入ってたのは一瞬だよ。みんなそうだもん」
「アニー、みんなってなんだよ」
「あたしが今までに夢見の面倒を見てきた人たち。君はちょっとヘンだけどその点は同じだと思うよ」
「俺がヘン?」
「うんそう。君の夢にあたしいなかったでしょ?」
「いなかった」
「それよ。いつもだったらあたし夢の中に行くし、しゃらくせーから試練とか代わりにクリアしちゃうのに」
「するなよ」
「今回は入り口まで君を連れてったらそこでシャットアウト。ハイ、サヨナラって。ビックリしたねー、アレには」
「それって珍しいの?」
「珍しいって言うか初めてだねー。初体験さー。きっとなんかとんでもないもんがここに」

アニーがジョンの胸を指で何度もつつく。

「あるんだろうねー」
「やめてくれよ」
「おや、こりゃ失敬。・・・・・・で?どんなスキルだったの?見せてよ」
「それが・・・・・・」

ジョンは恥ずかしそうに頭をぽりぽりと掻いた。

「まだ取れてないんだ」

***

「つまり、取れたのはスペルの<抽出ポンプ>だけだったと?」
「うん、その通り」

翌朝、一旦眠ることにした面々は朝食前に一室に集まっていた。
なお、多忙なアニー社長は帰り、ここにいるのはレイン、オーレン、シャープ、今朝から参加したロベルト、そしてジョンである。
アニーはレインに「その後の経過を連絡してねー。あと、魔譜の件よろしく」と釘を差して出ていった。伊達に社長じゃない。多忙なんです。

「つまり・・・・・・どういうことですか?」

昨日の出来事をあまり理解していないロベルトが首をひねる。見かねてオーレンが説明を始めた。

「昨日、シャープがジョンに『ミリアが死んでも構わん』と言い捨てたのは実はジョンを試すためのものだったのです」
「そうなんですか」
「我々はジョンの決意が固ければ応援してやろう、という結論を出していたのですよ。で、見事ジョンはその晩に脱出を試みるという無謀な挑戦をしてその意志を示しました」
「そうなんですか」
「ミリアを助けるためにはまず力が必要です。つまりはスキル。そのためにわざわざスキル能力者まで手配していました」
「そうなんですか。で、その人はどこです?」
「昨日のうちに帰りました。忙しい人なので。それで、その結果、」
「魔力を抽出するスペルが使えるようになったんだよ」

最後はオーレンに代わってジョンが話した。

「昨日、夢の中の試練の塔ってところで鎧の騎士を倒したんだ。そしたら番人が『もう一回奴を倒したらスキルが使えるようにしてやる』って言ったんだ。でも、負けた場合に死んじゃうことを考えて一度戻ってくることにしたんだ」
「ほうほう」
「戻るって言ったら番人が今度は『騎士を一回倒したからスペルを一つだけ使えるようにしてやる』って言うから、」
「魔力抽出のスペルをもらってきたのか?」
「そうだよ」
「なぜそれなんだ?」

ジョンは試練の塔に行く際には、「往復」と「復活」に魔力が必要となることを簡単に説明し、抽出スペルがあれば魔力の回復が早くなるのだと説明した。
ジョンが説明を終えるとシャープが疑問を投げかけた。

「回復なんて待たなくても魔譜でいいんじゃないのか?」
「それがどうもダメみたいなんだ。俺が自分で貯めた魔力や魔譜でないと持っていけないんだって」
「理由は?」
「無いらしいよ」
「そうか。どのくらいで必要な魔力は貯まる?」
「今夜にももう一度『塔』に行くよ」
「そうか。なら出発は今夜だな。用意しておけよ、ジョン」
「・・・・・・ミリアを助けに行くのか?」
「そうだ。お前が言い出したことだろう?」
「シャープ!」

ジョンはいたずらっぽく笑う老人に抱きついた。シャープは「まさか孫と同じ年の子供と旅に出るとは」と言って苦笑した。


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