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詰みゲー! 4-46

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『隠者の忍び屋敷<ハイドアウトマンション>』の中庭。ひまわりの前にジョンは立っていた。ジョンがミリアと「先にひまわりが咲いているのを見た方が勝ち」という賭けをしていたあのひまわりである。賭けの対象となっていたひまわりは奇しくもミリアが屋敷を出た一ヶ月後にしてミリアが行方不明になった翌日に咲いた。

(・・・・・・これで俺の勝ちだな、ミリア)

ジョンはひまわりの鉢植えに「俺の勝ち」と書いたプレートを突き刺して中庭を後にした。


***


ジョンの自室にて。ちょうど出発のための荷物を小さなリュックに入れ終えたところだった。

「・・・・・・これでよし。荷物はこれで全部だな」

そのとき、部屋の扉をこんこんとノックする音が聞こえた。ジョンがどうぞ、と応えると扉を開けてノックの主が部屋に入ってきた。ノックの主はクラリスだった。
クラリスの顔はまるで一日中泣いていたかのようにぱんぱんに腫れていた。

「ジョン・・・・・・。今、時間ええやろか」
「あ、ああ。いいよ。ちょうど荷物をまとめ終わったところだよ。どうしたんだ?」
「その・・・・・・聞いといて欲しいことがあって・・・・・・」
「・・・・・・ふーん。まあ、座ってくれよ。ちょっと散らかしてるけど」
「おおきに・・・・・・」
「お茶いる?」

ジョンはクラリスを椅子に座らせ、テーブルの上や床に散乱した物を手早くまとめてベッドの上に放り投げた。ついでにクラリスに出すためのお茶を用意し始めた。

「もらうわ」

クラリスの様子を気にしながらジョンはお茶の用意をした。ミリアが出て行ってからクラリスはどこか雰囲気が変わったような気がしていたが、今日は特に変だとジョンに思わせるほどに挙動不審であった。


***


「はいよ。淹れたてのお茶」
「おおきに・・・・・・」
「さあ、話してくれ。何か大事なことなんだろ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「実は・・・・・・ミリアが行方不明になった原因は・・・・・・ウチ、やねん」
「え?」
「ウチがミリアを・・・・・・ここから追い出してん。せやから、せやから・・・・・・」
「クラリス、落ち着け」
「ウチが悪いんや、ウチが・・・・・・」

ジョンはいきなり泣き出してしまったクラリスをなだめてミリアが屋敷を出ていった本当の理由を聞いた。
クラリスが王様からジョンを惚れさせるよう言われたこと、ベンジャミンが協力したこと、計画は見事に成功してしまったこと。

「・・・・・・そうだったのか」
「今更何を言っても意味ないけれど・・・・・・、ジョン!ごめん!ごめんなさい」
「・・・・・・頭を上げてくれ、クラリス」
「ウチ・・・・・・」
「いいから」

ジョンは涙で顔を腫らしたお姫様を正面から見据えて断言した。

「クラリス、よく聞け。・・・・・・ミリアは俺が連れて帰る。必ずだ」
「ジョン・・・・・・」
「俺はクラリスのせいだとは思わない。それでも何か言いたいんならミリアに直接言ってくれ」
「・・・・・・」
「ビンタの一つくらいは覚悟しといた方がいいかもしれないけどな」
「・・・・・・せやな。ミリアにほっぺたひっぱたいてもらうわ。それでチャラにしてもらう」
「・・・・・・いつも通り図々しくなったな。それでいいよ。ちょうどいい」
「・・・・・・おおきに、ジョン」


***


「さてと・・・・・・」

クラリスが自室へ帰った後、ジョンは椅子に崩れるように座り、手で顔を覆った。

(・・・・・・・・・・・・)

クラリスに見せていた笑顔とは打って変わって沈んだ表情でジョンはしばらくの間何かを考えていた。


***


その夜。屋敷を出発する予定の時刻の一時間前。

「さて、と。心譜<スキル>を取りに《塔》に行くか。さっさとスキル取らないとシャープに置いて行かれるからな」

ジョンは一枚の札を具象化すると「入口」と書いた。そして仰向けに寝転がり、札を鳩尾のやや上あたりに置き、目を閉じた。


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