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北の海の魔女 27.0

†††27.0

「お願いします!どうかお願いします!旦那様に手を貸してください!」
馬で素早く少年達の元へやってきた盗賊達に少年は必死に訴えた。
「・・・・・・何だ?何を言っている?」
リーダーらしき男がいぶかしげに眉をひそめて尋ねた。
「聞くことないですよ。さっさとと奪って帰りましょう」
リーダーのそばにいた男がより疑い深い目で少年を見る。
このままではいけない、と少年はさらに言葉を重ねた。
「旦那様は今日どうしても王様の御前に参上しなさらなければならないのです。しかし、先ほど馬車が壊れ怪我をしてしまいました。このままでは間に合いません。どうか協力してください」
盗賊がざわつく。当たり前だ、王様が登場したのだから。これでこの男は「王様に謁見できるほど」の男・・・・・・かもしれない、と思わせることができた。
「その儀とは?」
リーダーが聞いた。
「は?儀?」
少年は儀という言葉を知らなかった。
「・・・・・・何用で王に合わねばならんのだ。・・・・・・小僧お前は喋るな」
リーダーは答えようとした少年を遮って言った。
「しかし、旦那様は怪我で・・・・・・」
「二度言わせるな。王に会って話せるなら今も話せる。次に割り込んだらお前も『旦那様』も殺すぞ」
少年はうっとなった。迫力に圧倒されたのもあるし、話を思ったより信じていないことがわかったからだ。
「・・・・・・言え、ない。極秘事項、だ」
男がうつむいて、苦しそうに、それでいて重々しく言う。
「言え。言わなければ今ここでお前を殺す」
男はうつむいたまま何も言わなかった。
「貴様・・・・・・。ならこの小僧を殺すぞ」
少年はまずい、と思った。この解答に間違えれば二人とも死ぬ。問題は男がそれに気づき、なおかつ上手い答えを出せるかどうかだ。

「・・・・・・やめろ。その子は、殺すな」
まずい、と少年は思った。このままでは二人とも、殺される。

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